「紫外線発光光源」を活用したデータ駆動型病虫害防除技術の確立に向けた実証の実施

2024年2月7日

株式会社長尾商会
ぷらっとホーム株式会社
株式会社NTTアグリテクノロジー

 株式会社長尾商会(本社:高知県高知市、代表取締役社長:長尾 憲)、ぷらっとホーム株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木 友康)、株式会社NTTアグリテクノロジー(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:酒井 大雅)の3者は、高知県IoPクラウド※1と連携し、化学農薬に代わる防除技術である紫外線発光光源※2を活用したデータ駆動型病虫害防除技術の確立に向けた実証(以下、本実証)を2023年12月より実施しています。
 本実証にて、データ駆動型の紫外線発光光源による病虫害防除技術を確立し、高知県をはじめとする施設園芸が盛んな地域への実装をめざします。
 2024年2月7日には地元関係者に向けて経過発表会を実施し、防除効果に関する結果など、実証の経過を報告しました。今後も、実証フィールドである高知県立幡多農業高校の生徒への説明会を実施するなど、得られた成果を業界および地域へ展開していきます。

※1:IoTで接続した農業ハウス内の機器のデータや農産物個々の出荷データ等を、リアルタイムで一元的に集約するクラウド型のデータベースシステム。(https://kochi-iop.jp/
※2:病虫害防除効果があると想定される、紫外線を照射する光源デバイス

【実証イメージ】

1.背景・目的

 近年、日本の農業現場において、温暖化などの影響により病虫害による被害が拡大していますが、農林水産省「みどりの食料システム戦略」※3にて2050年までに化学農薬の使用量(リスク換算)を50%減らすことが目標として掲げられており、農作物の病虫害被害を防止する新たな防除技術の確立が求められています。そのような中、NTTアグリテクノロジーでは、従来の化学農薬に代わる物理的な防除技術である「紫外線発光光源」を用いた病虫害防除の取り組みを進めており※4、毎日一定条件で照射し続けることで、一定の防除効果を見込むことができました。一方で、生産者の電力代増加に伴う経済的負担も考慮する必要があることがわかってきました。
 こうした中、高知県の「データ連携基盤活用実証事業委託業務(一般型)」公募型プロポーザルに、3者による共同企業体として提案し、県の採択を受けて、施設園芸が盛んな高知県の生産者と親和性の高い、紫外線発光光源を活用したデータ駆動型病虫害防除に関する実証に取り組むこととなりました。
 本実証にて、高知IoPクラウドと連携し、同クラウドにて収集される環境データと組み合わせることにより、より効率的な紫外線発光光源の活用に向けた検証を行い、電力コスト削減や化学農薬削減による負荷低減、持続的な農業生産を実現することを目的とする、新たな防除技術の確立をめざします。

※3:みどりの食料システム戦略
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/index.html
※4:2022年10月21日 「紫外線発光光源」を軸とするスマート病虫害防除技術の確立に向けた実証実験の開始
https://www.ntt-agritechnology.com/news/20221021.html

2.実証概要

 高知県立幡多農業高校にあるトマト圃場を実証フィールドとし、当該圃場にて紫外線発光光源を用いた病虫害防除に関する実証を行います。
 具体的には、高知IoPクラウドと連携することで、実証圃場に設置したカメラやセンサー機器で収集した圃場内の環境データ(温湿度や捕虫シートの画像データなど)をクラウド上で確認・分析できる仕組みを作り、データを基に圃場の状況に応じた紫外線発光光源の照射を実施します。さらには、病虫害に詳しい専門家にも協力いただくことで、高知IoPクラウド側から病虫害防除に最適な紫外線発光光源の照射制御ができる仕組みを整備します。
 これにより、従来は紫外線発光光源を毎日一定条件で一定の時間照射する必要があり、電力コストの負担が大きくなるといった課題がありましたが、圃場の環境・状況に合わせて適切な照射制御することで、生産者のコスト負担の軽減や防除効率の向上を図ります。
 また、2024年2月7日には、実証の経過報告として地元関係者に向けて発表会を実施し、紫外線発光光源を活用したデータ駆動型病虫害防除による防除効果に関する状況など、実証の経過を報告しました。

【実証の様子】

▲ ハウス外観
▲ ハウス内観
▲ 紫外線発光光源(ハウス上部)

【成果発表会の様子】

▲ 発表会模様
▲紫外線発光光源 照射制御画面イメージ 

3.各社の役割

長尾商会本実証の全体管理、クラウド設計管理
ぷらっとホームIoTゲートウェイ・センサー等機器の提供、IP設計
NTTアグリテクノロジー紫外線発光光源関連・効果検証

※本実証による虫害防除効果の評価手法の策定については、国立大学法人富山大学 土’田 努准教授ならびに国立大学法人群馬大学 藤原 亜希子講師のご協力のもと行われました。

4.実施期間

2023年12月5日~2024年3月8日(予定)

5.今後の展望

 本取り組みを通じ、紫外線発光光源による防除技術を通じた農業振興につなげ、高知IoPクラウドの更なる県内への普及拡大、全国の自治体の参考となるようなプロジェクトへの昇華をめざします。
 また、2024年2月13日に本実証の実証フィールドである高知県幡多農業高校の生徒への説明会を実施し、実証終了後は高知県と通じて得られた成果を業界および地域へ展開します。

【高知県IoPクラウド活用実証事業説明会】

 農業の次世代を担う高校の生徒に、本実証にて得られた成果の地域展開、およびスマート農業の普及啓発という観点において、幡多農業高校の生徒向けに、本実証の内容や、各社が進める先進的なスマート農業についての説明会を実施します。

日程2024年2月13日
場所高知県立幡多農業高校
対象幡多農業高校生徒
説明会内容- 本実証の概要
- 株式会社NTTアグリテクノロジーが進める他スマート農業の紹介
- ぷらっとホーム株式会社が進める他スマート農業の紹介

6.本件に関するお問い合わせ

株式会社長尾商会
Email:nagao-shoukai@shirt.ocn.ne.jp

ぷらっとホーム株式会社
Email:pr@plathome.co.jp

株式会社NTTアグリテクノロジー
Email:contact@ntt-agritechnology.com