Society5.0の実現にむけたスマートハウスをIoT技術で構築

模擬住宅のセンシングデータで
OpenBlocks IoT VX2/OpenBlocks IDMアプライアンスを利活用

研究・開発見える化行動分析


日立東大ラボ 様

組織概要:日立製作所と東京大学が共同で設置した研究機関。
日立製作所のもつインフラ技術やIT技術と東京大学の先端研究を融合し、社会課題解決や経済発展を両立する未来社会”Society 5.0”の実現に向け研究を進めている。

H-UTokyo Lab

概 要

日立東大ラボでは、社会課題解決と経済発展を両立する未来社会”Society 5.0”を実現する取り組みの中で、模擬住宅を構築している。この模擬住宅においてぷらっとホームのIoTゲートウェイ製品「OpenBlocks IoT VX2」とIoTデータマネジメント製品「OpenBlocks IDMアプライアンス」が採用されており、採用の背景などについて日立東大ラボに話を聞いた。

見える化の一歩先を見据えた居住空間を研究

日立東大ラボのプロジェクトのひとつ、ハビタット・イノベーションプロジェクトにて、様々なセンシングによって次世代のスマートハウス研究を目指す模擬住宅を運用中だ。

模擬住宅のコンセプトについて日立東大ラボのメンバーである株式会社日立製作所 ライフサイエンス研究センタ 中央研究所 主管研究員 牧 敦氏(以下、牧氏)は「便利を前面に出した”スマートハウス”を呼ばれるものは世の中に多く存在しますが、我々が目指しているのは特に独居高齢者を想定した、センシングから見える化の先までも実現する次世代のスマートハウスを目指しています。例えば誰かが目の前で倒れたときに、「大丈夫ですか?」と声掛けをすると思います。その返答に応じて救急車を呼んだり、ナースコールをしたり何らかのアクションを起こすと思いますが、それを無人化する仕組みを完成させるのがひとつのゴールだと思っています」と言い、一方通行のアクションではなくインタラクションの確立が重要だと牧氏は話す。

株式会社日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ 主管研究員 牧 敦 氏

株式会社日立製作所 研究開発グループ
基礎研究センタ 主管研究員 牧 敦 氏

これらを実現する次世代スマートハウスの研究用に構築された模擬住宅だが、構築するにあたって二つの課題があったと日立東大ラボメンバーの東京大学 高齢社会総合研究機構 特任研究員 伊藤 研一郎氏(以下、伊藤氏)は話す。
「まだ実験段階なので一か所にしかありませんが、今後は別の場所や実際の住宅での稼働も考慮し、本番運用にも耐えられるシステムにしたかった事と、各センシングデータの収集・蓄積・統合をなるべく手間をかけずに行いたかったと模擬住宅の構築当初から考えていました」(伊藤氏)

OpenBlocksを使い、プログラミングレスでIoT技術を活用したシステムを構築

模擬住宅では居住空間の環境や、居住者の状態・行動のデータを収集するため、様々なセンサーデバイスを使用している。

居住空間の温度や湿度のセンシングデバイス、ドアの開閉センサー、人感センサー、カメラ等多岐に渡る。これらのデータを収集するためのデバイスとして採用されたのがぷらっとホームのIoTゲートウェイ製品OpenBlocks IoT VX2だ。
また、収集したデータを一元管理かつデータの可視化等にはOpenBlocks IDMアプライアンスが利用された。
伊藤氏によると、センサーデバイスのデータ収集にはもともと安価なボードコンピュータを利用する事を想定していたという。しかし模擬住宅で構築したシステムを発展させていき、今後、他の住居への横展開や、屋外環境への適用を想定した場合、はじめから本番環境での稼働を想定した作りにしたほうが良いと考え、OpenBlocks IoT VX2を採用したと話す。

東京大学 高齢社会総合研究機構 特任研究員 伊藤 研一郎 氏

東京大学 高齢社会総合研究機構
特任研究員 伊藤 研一郎 氏

「このプロジェクトの模擬住宅だけの利用だけであればボードコンピュータを使いIoTゲートウェイを自作するだけでよかったのですが、今後はこのシステムを他の住宅で利用したり、通信環境の無い屋外での利用の可能性もあったので、OpenBlocks IoT VX2を採用することで様々な環境下でも動作する信頼性の高いシステムの構築をする事ができました。」(伊藤氏)
OpenBlocks IoT VX2には、IoTゲートウェイとして必要な機能が標準で備わっている。例えば、この模擬住宅では温度・湿度・開閉・人感などのセンサーが取り付けられているが、これらのデータ収集はOpenBlocks IoT VX2が担っており、また、収集したデータはIoTデータマネジメントのアプライアンス製品、OpenBlocks IDMアプライアンスへと送信される。これらのデータの収集からデータの送信までをOpenBlocks IoT VX2に標準搭載されているソフトウェア機能を使ってプログラミングレスで実現しており、これにより当初想定していたシステム構築の手間も大幅に削減できたと伊藤氏は話す。

様々なセンシングデバイスが取り付けられた模擬住宅

様々なセンシングデバイスが取り付けられた模擬住宅。
電気・水道や風呂など実際に人が生活できる設備が整っている。

さらに、このプロジェクトの模擬住宅ではセンシングされたデータを統合的に管理・可視化するためにOpenBlocks IDMアプライアンスを活用している。
「センサーフュージョンという言葉があるように複数のセンサーデバイスから得たデータを同じ時間軸上で管理し、複合的にデータを閲覧・分析したいという思いがありましたので、OpenBlocks IDMアプライアンスはデータの収集先として最適な製品だと思いました。また、例えば通信回線などの確保が困難な場所でもオンプレミスで完結し、システムの横展開がしやすいという点も採用理由のひとつです。」(伊藤氏)
OpenBlocks IDMアプライアンスは時系列データベースを標準搭載しており、収集した複数のデータソースをひとつのデータベース上で統合管理でき、時系列間隔の異なるデータ同士の比較、統合したデータのファイル出力に加え可視化ツールも搭載しており、複合的なデータの可視化も容易に実現できる特長を持つ製品だ。これらの特長とオンプレミスでシステムが完結する点が評価され、当プロジェクトで活用されている。

模擬住宅の各センサーの数値を
OpenBlocks IDMアプライアンスで可視化

OpenBlocks IoTとOpenBlocks IDMアプライアンスの役割

模擬住宅をデータの分析の場として活用

模擬住宅は現在、独居高齢者が住むことを想定し次世代のスマートハウスの研究を行っているが、様々なセンシングデータを収集し、蓄積したデータの利活用にもつなげられる可能性があると、東京大学 高齢社会総合研究機構 教授 飯島 勝矢氏(以下、飯島氏)は話す。
医師として高齢者医療に長年携わり、日立東大ラボのメンバーでもある飯島氏は、IoT技術は高齢者向けの医療やフレイル※対策にも役立つと考えている。

「私はこの模擬住宅を活用して実際に高齢者を様々なデータ収集・蓄積・分析することにより高齢者医療の発展つながると考えています。
例えば高齢者に多く、要介護要因の約10%を占める転倒骨折は意外にも自宅の特に段差などない場所で頻繁に起きていることが分かってきています。
IoT技術を活用したセンシングで危険な動きの特長を分析・パターン化できれば事前に察知して予防できるでしょうし、冬期の浴室で起こるヒートショックなどについてもバイオデータのセンシング・モニタリングによって予防できると考えています。
このような高齢者にひそむあらゆるリスクを早めに察知し、予防に繋げることが今後のフレイル対策を進めるうえで重要になっていくと考えています。

東京大学 高齢社会総合研究機構 教授 飯島 勝矢 氏

東京大学 高齢社会総合研究機構 教授
飯島 勝矢 氏

OpenBlocksはこの模擬住宅でデータの収集・統合という重要な役割を担っていますが、人の行動やバイオデータの分析など、ヘルスケア分野においても利活用しやすいサービスなども併せて提供頂ければ今後より一層高齢者医療の発展にも繋がると思います。」と、飯島氏は今後の展望を話すとともに、ぷらっとホームの製品・サービスに対する期待を寄せた。

※ フレイル(=虚弱)とは飯島氏が代議員を務める日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態を指す。身体的な虚弱、認知機能の虚弱、社会性の虚弱など多面的に存在し、治療や生活習慣の改善により健康な状態を取り戻す事のできる可逆性のある時期である事が特長。現在日本政府が中心となり進めている一億総活躍国民会議においてもフレイル対策の推進が重要事項の一つとされている。

参考情報:伊藤氏・牧氏による当模擬住宅に関する論文
https://ieeexplore.ieee.org/document/8661918

関連URL

日立東大ラボ
http://www.ht-lab.ducr.u-tokyo.ac.jp/
製品情報 OpenBlocks IoT VX2
https://www.plathome.co.jp/product/openblocks-iot/vx2/
製品情報 OpenBlocks IDM アプライアンス
https://www.plathome.co.jp/product/openblocks-idm/