商用UNIXからLinux環境へ
RoseHAでクラスタシステムを構築
止められないシステム
分子や原子よりもさらに小さい素粒子や原子核は、高エネルギーを帯びた粒子を利用してはじめて観察することができる。そして、粒子に高エネルギーを与えるための装置が加速器である。加速器を使っての研究は、コンピュータやネットワークを駆使した設備・支援業務によって支えられており、稼動時には昼夜を問わず継続して研究が行われている。
約600mの線形加速器リナックの内部写真。天井に上る筒は様々な計算機へと繋がっている。
今回「RoseHA」が導入されたのは、約600mの線形加速器リナックを集中制御するためのファイルサーバの部分である。このファイルサーバの冗長化には、10年ほど前から商用Unix HAクラスタシステム(TruCluster)を導入し使用している。しかし現在は、コスト面を考慮し従来の商用Unix環境からLinux環境への移行時だという。そこでHAクラスタソフトウェア「RoseHA」の導入に至った。LinuxサーバによるActive-Standby型の二重化構成により低コストで高可用性を実現したクラスタシステムを構築した。担当したKEKリナック制御グループの佐藤氏に伺った。「RoseHAは、加速器を制御する計算機を集中管理しているファイルサーバに使用しています。VME(Linuxプロセスの仮想メモリ領域)計算機が24台、現場用の計算機(PLC)が約130台、Linuxの計算機が10台程あります。そういった計算機の面倒を見ているファイルサーバです。ファイルサーバが止まると加速器の粒子ビームを制御できなくなるので実験ができなくなります。また、電気代等の日々の運転経費を無駄にしたくないために、1秒たりともシステムを止めるわけにはいかない。できるだけシステムは冗長化したい。」
HAクラスタは、システムのダウンタイムを最小限に止めるため、運用管理コスト面で大きな利益を生み出す。また突発的なトラブルによる呼出が激減するため、システム担当者の負担も大きく軽減する。KEKのような環境の冗長化にはHAクラスタ製品は最適である。
RoseHAを選んだ理由
HAクラスタ製品には、多台数対応やリプリケーション等さまざまな機能が備わっているものがある。しかしながら、実際に導入されているHAクラスタの90%は、価格面や運用スキルを習得するのに時間がかかりすぎるなどの理由により、Active-Standby型であると言われている。KEKの場合はどうだったのだろうか?佐藤氏に聞いてみた。
「HAクラスタを導入するにあたり、先ずは某社クラスタ製品を評価しました。GUIでの設定のしやすさなどを見たのですが、その製品はソフトウェアのコンポーネントがOSに食込んでいてカーネルのバージョンアップに合わせられない。そこが気になりました。RoseHAだとカーネルとか気にしなくていいところが良かった。もちろんRoseHAのほうが安かったという部分も大きいです。」と佐藤氏は語る。RoseHAは、シンプルな構成のために、管理的な機能は他製品に譲る部分がある。しかし、システムのアプリケーション設定やセキュリティパッチ・ドライバ関連を変更してもRoseHAを再設定などする必要がないなどといった点は、シンプルな構成ならではの長所である。また、RoseHAはHAクラスタの最も基本的な機能に的を絞り込み、オプション、価格体系の明解化を実現している。導入に必要なものは、製品パッケージのみであり、複雑なオプションの選択に悩むことがない。
RoseHA導入後の評価
導入もスムーズに行われ、本稼動から現在に至るまでトラブルは一切ないという。「RoseHAを導入してからまだ障害による切り替えが必要となる事態は起きていませんが、今のところ不満はないですね。インストールもすぐに終わりましたし、設定も簡単でした。以前、某社OSで提供されているクラスタソフトを使って自分でクラスタ構築したときと比べると、格段に楽でしたね。」さらに、「HAクラスタのメリットは計算機が止まったときに切り替わるというのが一番なんですけど、もう一つ、メンテナンスがいつでもできるというのも大きいです。ファイルサーバとしての運用を止めずに一台ずつのメンテナンスができるというのは重要ですね。」と佐藤氏は語る。
本当の評価はこれからだが、現在所内のいろいろなところで商用UnixからLinuxへのインフラの変更は進んでいるため、RoseHAとLinuxサーバとの組み合わせが導入される可能性が有ると佐藤氏は語り、RoseHAへの期待を寄せている。
安価なLinux設備への移行はKEKに限らず様々なところで進んでいる。また、突然のシステムトラブルを未然に防ぐことは企業や組織にとって、もはや必要不可欠となっている。限られた予算内でシステムの冗長化を実現するには、高コストパフォーマンスかつ簡便なソリューションが求められる。
Linuxに精通したぷらっとホームが選んだHAクラスタソフト「RoseHA」。ここに掲載した活用事例はLinux環境への移行を計画している方やシステムの冗長化を検討している方は是非参考にして欲しい。

