IoTで活動監視し、仔牛の命を守る — ライブストック・アグリテクノ株式会社

活動量の監視による仔牛の体調管理ソリューションで「OpenBlocks IoT VX2」を活用

ライブストック・アグリテクノ株式会社 様

埼玉県に本社を置き、畜産及び農業における課題解決のためのソリューションの開発・提供を行うITコンサルティング会社。

本社:埼玉県さいたま市浦和区高砂2丁目11番地13号 新和ビル3F
URL: https://atmow.jp/company/

概要

仔牛の重症化率、死亡率を下げたい——。

そうした思いから生まれたのが、ライブストック・アグリテクノ株式会社(以下LAT)が開発・提供する、仔牛の体調を24時間監視するクラウドソリューション「アットモーメント」だ。
当ソリューションでは、ビーコンデータを受信し、クラウドサーバーへ送信する役割を担うIoTゲートウェイに「OpenBlocks IoT VX2」が採用されている。同社に当製品採用の背景や理由を聞いた。

従来の体調管理手法の限界

「仔牛は生後約4か月を迎えるまでは病気にかかりやすく、毎月たくさんの仔牛が命を落としています。」LAT IoTソリューション事業 統括部長の宮原 利之氏(以下、宮原氏)は畜産業界の長年の課題である「仔牛の体調管理の難しさ」を語った。

仔牛の体調は一般的に、牧場スタッフが毎日総がかりで定期的に牛舎を見回り、仔牛一頭一頭の様子を目視で確認することで管理されている。しかしそれでも毎月多くの仔牛が重症化、死亡してしまうのが現状だ。仔牛は品種を問わず成牛に比べてその日その日で体調が変化しやすい上、個体ごとに体調変化の具合にばらつきがあるため、病気やその予兆を適時発見するのは難しいからだ。昨日までは体調が良好に見えた仔牛でも、今日になって体調が急変し、そのまま命を落とすケースも少なくない。

「それにそもそも病気の予兆を見抜くことはそう容易いものではありません。」(宮原氏)
立ち振る舞いや顔つき等から仔牛の体調を把握できるようになるためには10年、20年もの長い経験を積む必要があり、一朝一夕で身につけられるものではないと宮原氏は言う。技術習得に長い年月を要する以上、後進のスタッフの確保、育成も重要な課題だ。しかし現在の日本では一次産業の成り手が減少傾向にあり、全国各地の牧場は慢性的なスタッフ不足に悩まされている。その一方で昨今の国産牛ブームを受けて政府は畜産農家に対して積極的な事業支援を打ち出しており、飼育頭数を増やしていきたいという畜産業者の本音もある。

畜産業界ではこれまでこうした重症化・死亡化リスクを根本的に改善するのは不可能だと考えられてきた。しかし業界を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、多くの人員と個人の高い技能を前提とした従来の体調管理手法を続けていては、いずれ肉用牛の畜産自体が立ち行かなくなってしまう。仔牛の体調を容易に管理できる新たな手法の確立は畜産業界の喫緊の課題だったのだ。

IoT技術を活用した体調管理ソリューション

こうした課題を解決すべく開発されたのが、IoT技術を活用したクラウドソリューション「アットモーメント」だ。
仔牛には振動発電ビーコンが取り付けられており、仔牛が体を動かすたびにビーコンが発電し、電波を発する。
発したデータはIoTゲートウェイを介してクラウドサーバーに送られ、振動回数、すなわち仔牛の「活動量」として記録される。この活動量を収集・分析し、仔牛の体調管理や病気の早期発見に活用していく。

振動発電ビーコンを取り付けた仔牛

アットモーメントのシステム構成図

アットモーメントの活用で、重症化数ゼロ&死亡数ゼロを達成

「導入の初期段階でさっそく、『活動量の低下が認められた仔牛は半日から1日経ってから実際に体調を崩すケースが多い』という傾向が見えてきました。」と宮原氏は言う。
体調を崩した仔牛は1日かけて点滴を投与して治療するのが一般的だ。この治療方法では多くの人員と時間を割く必要があり、仔牛にも相当のストレスがかかってしまう。
アットモーメントはこうした従来の方法から新たな治療アプローチへの転換を強力にサポートしている。活動量分析を通じて仔牛が体調を崩す前にその予兆を捉えることで、早期かつ短時間の治療で対応することが可能になるのだ。

「仔牛の体調はブラックボックス化されている部分が多く、これまでは病気の予兆を発見するにはスタッフの長年の経験と勘が不可欠でした。それに対して、アットモーメントは『活動量』という数値から病気の予兆を多くのスタッフが読み取れるようになるんです。実際に多くの牧場で仔牛の重症化率、死亡率に大きな改善が見られました。
毎日15~20頭ほどの牛が生まれる大きな牧場でもご利用いただいているのですが、そこは導入前までは毎月約20頭の仔牛が命を落とすのが常態化していました。牧場のオーナー様からも『IoT技術を導入しただけで現状を改善できたら苦労しない。』と当初は厳しいお言葉を頂いていましたが、いざ導入してみると効果が如実に表れました。導入してから3~4か月後には死亡数が1か月あたり5頭程度にまで減り、さらに重症化する牛がいなくなったんです。活動量データが貯まるにつれて分析もさらに進み、その半年後には1か月の死亡数ゼロも達成されたそうです。」(宮原氏)

アットモーメントのダッシュボード画面
仔牛の活動量を視覚的に確認可能

信頼性のあるIoTゲートウェイの採用

このソリューションにおいて、ビーコンが発する活動量を受信し、サーバーへ送信するIoTゲートウェイとして採用されているのが「OpenBlocks IoT VX2」だ。なぜ本製品の採用に至ったのか、その理由を宮原氏に聞いた。
「アットモーメントをご利用いただいている牧場は全国各地にありますし、牧場1か所をとっても牛舎の数に応じてIoTゲートウェイの設置台数は増えます。アットモーメントを全国に展開していく上で、壊れにくく信頼性のあるIoTゲートウェイの採用は必須の条件でした。」(宮原氏)

そこで白羽の矢が立ったのがOpenBlocks IoT VX2だったという。OpenBlocks IoT VX2はBLE通信可能なDebian GNU/Linux(64bit)を搭載した汎用IoTゲートウェイで、-20℃~+60℃の環境下でも動作する耐環境性能・堅牢性の高さを備え、ファンレス密閉構造にすることで主要な故障要因を徹底的に排除している。「IoTゲートウェイを選定する上で、何よりも重要視していたのは信頼性、動作の安定性でした。元々別の案件でOpenBlocks IoT VX2を使っていたこともあり、実績があり信頼に足る本製品を選んだのは自然な流れでした。IoTゲートウェイをこの製品にすることで、ソリュ―ション開発により一層リソースを集中させることができました。」(宮原氏)

屋外設置用ボックスに取り付けた
OpenBlocks IoT VX2

振動発電ビーコンの採用でメンテナンスフリーを実現

ビーコンは東洋エレクトロニクス社の振動発電ビーコンが採用されている。このビーコンは振動で発電するため電池レスで稼働可能、さらに日常生活防水にも対応しておりメンテナンスフリーを高い次元で実現している。
「ビーコンもIoTゲートウェイと同様、メンテナンスに手間がかからないことが条件でした。仔牛1頭につき1ビーコンを付けるとなるとトータルで相当な量のビーコンを取り付ける必要があるので、電池駆動式のビーコンだと2、3年おきの電池交換のたびに莫大なコストがかかってしまいます。東洋エレクトロニクスさんの振動発電ビーコンを使うことでこの問題を一気に解消できました。」
この振動発電ビーコンの通信プロトコルにOpenBlocks IoT VX2は標準対応しており、振動発電ビーコンとOpenBlocks IoT VX2の接続はWebブラウザ上の簡単な操作によりプログラミングレスで設定可能だ。

仔牛だけでなく、より多くの牛に活用していく

最後にアットモーメントの今後の展望についてお聞きした。
「ゆくゆくは仔牛だけでなく、肥育段階の牛にも当ソリューションを提供できないかと考えています。日本の肉用牛の畜産は出産、仔牛の育成、肥育の3つに分業して行われるのが一般的で、このうち肥育事業に特化した牧場は生後9ヵ月前後の牛を競りで買い入れて育てています。ここで問題になるのが飼育環境の変化による牛へのストレスで、肥育初期に体調を崩してしまった牛は快復後もなかなか大きく育たなくなるのです。こうした問題に対してもアットモーメントはアプローチできるのではないかと現在牧場と協力して導入の検討を進めています。他にも海外だと、東南アジアの酪農業大手が肉用牛経営に参入するということで、飼育の効率化目的でアットモーメントの導入をご検討いただいています。」

関連URL

ライブストック・アグリテクノ株式会社
https://atmow.jp/

製品情報 OpenBlocks IoT VX2
https://www.plathome.co.jp/product/openblocks-iot/vx2/

使用製品

分類製品名用途
IoTゲートウェイOpenBlocks IoT VX2BLEビーコンからビーコンデータを受信し、クラウドサーバーへ送信
BLEビーコン振動発電型 電池レスBLEビーコン振動量のビーコンデータを送信

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